後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第20章 貴女が涙を流すなら
しかも私だけじゃなく事務所全体に聞こえる声量で。
「……!!」
「では仕事に戻ります。午後も頑張りましょう」
こんな爆弾を投げ込んでおいて、本人はさっさと仕事モードに切り替えた。
バイトくんは気配を消そうと必死。
穂花は胸キュン全開でうっとりしている。
藤堂さんは腕を組んで困り顔だ。
「た、立花……」
青ざめた藤堂さんは、私に何かを言いかけたのだが
「いや、何でもない…!」
すぐに口をつぐんでパソコン画面に視線を移した。
この不自然な反応、前にもあったような…。確か、ホテルの祝賀パーティーの時の藤堂さんも似たような態度だった。
何か後ろめたい事でもありそうなこの態度。
怪しい。
けれど今は、いちいち藤堂さんを問い詰める気になれない。
“ 何のつもりよ葉川くん…!! ”
私は平静を装うのに必死だった。
───