後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第4章 誘惑のドライブ
「なら、行きましょ」
それなら私に断る権限はない。
「ところで今から二人とも抜けることになりますが、藤堂さんは大丈夫なんですか」
「俺はまぁ、まぁ…………どうにか、なる。立花は葉川くんの指導をよろしく頼むよ。俺はどうにか……なる。たぶん……なる…………たぶん」
「……どうにかならないなら早めに作業をふってくださいね」
「……行ってこい」
「……」
藤堂さんをひとり残すのは不安だけど。
何だかんだで間に合わす人だから、私は私で自分の仕事に集中しよう。
「お待たせしました」
次に葉川くんのほうへ振り向いた時には、彼は手早く準備をすませていた。
「ご指導よろしくお願いします」
「ええ」
こういうところだけ見たら、礼儀正しくていい後輩なのよね。
この日の夜、彼とあんな関係になるなんて……
今の私は知る筈もなく、二人で事務所を後にした。