後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
シーン
「…それで、話とは?」
第三者がいなくなった空間で、私は藤堂さんに問いかけた。
おとといの事には触れないでほしいと…多少の威圧を無言でかけながら──。
給湯室に向かう必要のなくなった藤堂さんは、その威圧を受けながらゆっくりとデスクに戻っていく。
そして自分の席につき
改めて私を見た。
「先ずは繰り返しになるが…立花のコンペ通過を祝いたい」
「……」
真面目な話に切り替わったのだと、それは藤堂さんの顔つきでわかる。
デスクからこちらに向けられた顔は、日本を代表する建築家、藤堂隆英のものであった。
だから私もいくらか安心して、真面目に話を聞く態度をとる。