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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~



「立花にコンペを任せたのはこれで三回目だな。最初のコンペ──生涯学習センターだったか? あれは惜しくも優勝を逃したわけだが…初めてとは思えないクオリティで驚いた」

「…昔話…ですか」


懐かしい話をする。

私が担当した生涯学習センターのコンペティションは、確か三年前のプロジェクトだ。

いくら…自分の中で満足できる設計ができたとしても、一位に選ばれなければ何も残らない。

それをひしひしと痛感したものだ。


「ま、つまりだな。こいつはそのうち大物になるだろうって予感がしてたわけだ」

「…フフ。大物って…っ、なんですかそれ」

「俺はふざけてないからな? …二度目のコンペは悔しい結果に終わったが。だが! 三度目の正直とはこのことだ」

「三度目の正直……。ああ、確かに」


昔の話を持ち出して、藤堂さんはどういうつもりなのかしら。

それに…こそばゆい事ばかり言ってくるし。


…これが二人きりになって話したかったこと?


やたら誉めてくるわ、回想なんて始めるわ

まるで…!


「──…!」


もしかして、藤堂さん…?



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