後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第6章 後輩くんの挑戦状
「……」
「ハァっ‥!」
「……痛い、です」
「君が悪いんでしょう?」
手をあげてしまったことに関して、咄嗟のこととはいえ気まずい思いになった。
葉川くんの頬には微かに赤い痕ができていて、片目を閉じた彼は痛そうに肩をすくめる。
けれどその口許は相変わらず余裕ありげに笑っており、それを見る私は謝る気になんてなれなかった。
むしろ自分の衝動に従うなら
もう一度、この綺麗な顔をひっぱたいて反省ぐらいさせてやりたい。
「悪いのは僕ですか……、──…フ」
「……!?」
「こんなのはまだ序の口ですよ」
「きゃ…!!」
叩かれた頬を指の甲で撫でていた葉川くんがまたしても、私の腕を掴んで引き寄せる。
二人の位置が入れ替わり、私は背後に押され、ソファーの上に仰向けに倒れた。
「──…!?」
倒れる直前に彼の腕が私の身体を支えたから、強くぶつかりはしなかった。
ググッ...
「……部屋の中で二人きり。叩かれた僕が逆上でもしたらどうするつもりですか?」
「…ハァっ、……な んですって…!?」
「…というのは冗談ですが」
「……っ」
ソファーの上に縫い止められた手首は
ピクリとも動かない。