
武橋さんのセフレを希望します。
第3章 ◇section3
なんか、すこし…もやもやする。
「オレは、帰るけどお前どうする? 朝まで寝ててもいいぞ。酒も抜けきってないだろ」
「あ…え、っと」
私に聞きながらも、武橋さんはちゃくちゃくと着替えを進めている。
あ、背中きれい。って、こんなこと考えるんじゃなくて…
もう、ここを出たら、本当に会えなくなってしまうし、本当にただの他人だ。
今日の出来事も、武橋さんにとっては風俗に行ったくらいにしか思ってないかもしれない。
「武橋さん」
「どうした?」
「わたし…」
まだ、私、酔ってるんだ。
このもやもやも、酔ってるからだ。
それか、丁寧に抱かれたことによる刷り込み現象だ。
でも、この人とこれっきりは嫌だ。
「わたし、イってないです」
「……は?」
「イってないです!」
武橋さんは、思ってもない言葉だったようで、とても驚いた顔をして私を見つめていた。
「その、私…」
いまから発する言葉に、私も自分自身で驚いている。
いまから、私はこの人にこんなことを言うのか。
でも、自分を自分で止められない。
「私を、武橋さんの、セフレにしてください」
