無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あ、ニーナ帰って来たよ」

仕事から戻ってきたニーナに女達がムツミに声を掛ける。

「えさくださぁい」

「ニーナ、ムツミいるよ！むっちゃん！」

「むっちゃ？」

ペタペタと足音を立ててムツミの側に来たニーナは床に座り込み顔を覗き見る。

「むっちゃ、いたいされたの？」

痛々しいほど窶れたムツミに顔を歪めて頬を撫でると震えた手でニーナの頭を撫でた。

「ニーナ、」

「あい」

「アンタは強い子だね」

「あい」

今は何も分からないかも知れない。

まだ理解出来ていたあの頃なら専門がどれだけ辛い場所か、泣きながら戻ってきたニーナにもっと優しくしてやれたはずだと胸が苦しくなった。

「ごめんね」

「そっかぁ」

「ごめんね」

「またいたいするんだね」

うんうん、と首を振りながら「へーきへーき」と無邪気に笑って立ち上がると「えさくださぁい」と言って部屋を出て行った。