Deep Night《R18版》
第6章 No.623
予定通り一時間後に通常の仕事に戻されたムツミは悲鳴を上げる身体を引き摺って部屋に入った。
「どーも632番でムツミって呼ばれてまーす」
先に部屋に入っていた客に明るく取り繕いながら入ると一瞬だけ言葉を詰まらせた。
「……酷い格好してんね、アンタ」
引いていると一目で分かる客のその顔は珍しく色男だった。世に出れば女に不自由はしていないルックスだがこの店に足を運ぶということは訳有りな性癖の持ち主だと疑う。
「ちょっとハードプレイが行き過ぎちゃって」
「この店ってそういうとこだろ?」
「まぁね」
イテテ、と声を漏らしながらランジェリーを脱ぐムツミに色男は「口は平気?」と聞いてきた。
「まぁ顔はそんなにされてないから平気だよ」
「そ、じゃあいいよ。軽く喋って口で済ませてくれれば」
「そう?随分優しいね」
「だってそんな身体抱く気しねぇし」
「そらそうだ」
ははは、と軽く笑って誤魔化すムツミはいっそ何も言われず突っ込まれるほうがマシだった。
少しだけ傷付いた女心。