Deep Night《R18版》
第6章 No.623
「ニーナ、昨日部屋出てから何してたの?」
躊躇いながらも背中に触れる。
「いたいするとこいった」
専門に行かされたのだと、察したムツミはそれでも確認するように、ニーナに尋ねる。
「クソ野朗に言われたの?専門に行けって?」
「ちがう、むっちゃが、またいたいしないようにって」
ポロポロと涙の粒を落としながら、頬をぺたり、と触るニーナはムツミに微笑む。
「……あたしの為に?」
「うん」
「バカなの?」
「あい」
グッと込み上げる熱い気持ちに、ムツミも自然と涙が零れた。
「ニーナ」
「あい」
「痛かったね」
「むっちゃ、いたい?」
「ううん、ニーナの方が痛かったよね」
「あい」
ニーナの背中に抉られるように付けられた傷。
その傷跡が――
「ニーナはあたしの天使だね」
ムツミには羽根のように見えた。