Deep Night《R18版》
第6章 No.623
ニーナの傷は粗末な手当てしかされておらず、ムツミは従業員に文句を付けながら、痛みに苦しむニーナを介抱する。
「ミヨコ、ニーナに水持ってきて」
口を塞がれたミヨコは、返事の代わりに首を縦に振り、バケツから水を汲んでムツミに運ぶ。
端切れの布を水に浸け、軽く絞ったものをニーナの背中に当てる。布に血が滲み、赤く染まっていく。
「いっ…たぁい!」
「ニーナ、ごめんね。少しだけ我慢出来る?」
「………っあい」
「綺麗にしてあげるからね」
ベアバックワンピースのように、ざっくりと切られた背面から覗く傷にミヨコも顔を歪める。
自分の口の痛みさえ忘れたかのように、ニーナの背中に目が釘付けられていく。逸らしたくなる程の怪我だが、いつかは自分に振り掛けるかもしれない、と思うとゾッとする。
「大丈夫だよ、ミヨコ」
そんなミヨコに気付いたムツミは、安心させるように強く言葉を投げ掛けた。