Deep Night《R18版》
第6章 No.623
「いらっしゃい」
「あぁ、ところでDVDの事だけど…」
「せっかちな男だね!そんなにあたしのアレ見たいの?だったら今週、また来てよ!」
形式ばかりな挨拶で色男を迎えたムツミは、外に居る従業員に聞こえるように話す。
人差し指を唇に宛がい、カーテンの向こうに耳を向けるムツミに色男も察して「参ったな」と笑う。
「……行ったみたい 」
「そんなに警戒してんの?この店は」
「まぁ、色々あってね」
「色々?それは気になるね」
「イヌが探ってきてるかも、って警戒してんの」
「イヌ?」
「警察だよ。犬のお巡りさんって言うじゃん」
「なるほど。上手いね」
「別にそんな事で褒められてもね。違法なのは事実だし、クソみたいな扱い受けてるから、潰してくれんならさっさとして欲しいわ」
「……そんな話を俺にしてもいいの?もし俺がイヌだったらどうすんの?」
「は?あたしは自分の立場を理解してるし、あんたがイヌでも此処で起きてることは皆、他人事にしか思ってないから」
伺う色男を鼻で笑い、他人なんて、どうでもいいと華奢な脚を組み、太ももの刺青を撫でる。