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Deep Night《R18版》

第7章 Tiger


コピーしたDVDを押し付けられ受け取るが、友人は手の平を差し出したままでいる。

その意図を読み取った帳は失笑する。

「中身は?」

「新作は過去最高に残虐らしい。3日前に聞いた話では明日特別な顧客に売るみたいだけど、ムツミが口利きで俺にも買えるようにしてくれたよ」

「……お前の口座に振り込んでおく」

「助かるよ。いくらお国のお膝元に居るとはいえ100万は無理だからな。念のため確認するけど、……お前も見る?」

「あ?」

「やっぱ見せない。先走って店丸ごと潰しそうだし」

投げ捨てた煙草が燃え尽きるのを見ていると、横で首を振る友人は「じゃあ明日までに頼むよ」と車を降りて路地裏から出て行く。

「クソッ」

チッと舌打ちを漏らしハンドルを殴りつける。

ーーそれは怒りゆえの行為ではない。

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