Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
密会からすぐに金を振り込んだ帳は、その足で店に向かった。
掴み掛かる勢いで従業員に食らい付く姿はさながら猛獣な虎。
「217番。今日こそ連れて来い」
この目で見るまでは何も信じないと、硬く決めた帳は視線を泳がせる従業員を睨み付ける。
「も、申し訳ありません、ここのところ体調が……」
「ここの女は顔以外なら好きにしてもいいんだろ?呼べ。穴くらいは使えんだろ?」
「ですが……」
「俺がどうしようが金さえ払えやいいんだろ?いくら欲しい?欲しい分取れよ、ほら」
財布ごと従業員に投げつけるが、首を縦に振ろうとはしない。俯きながら財布を返す従業員に舌打ちを漏らした。
「テメェ、いい加減にしろよ」
殴り飛ばしてやろうか、と従業員の胸倉を掴んで引き寄せると横から女が湧いて出てきた。
「ちょっとアンタ、ニーナの客でしょ?」
「あぁ?誰だテメェ」
「今日はあたしが相手するからVIPに呼んでよ。サービスするからさ」
胸倉を掴んでいる手を女がゆっくり解いてそのまま腕を組み、部屋へ歩き出す。
「あたしの客なら問題ないでしょ?」
従業員に確認するように振り替えると先程の態度とは打って変わって悪態付きながら「奥の部屋を使え」と案内した。