Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
「アンタさ、ニーナの客ってだけ?ただの客じゃないでしょ」
「客でもねぇよ。つーか離せ」
部屋に入っても腕を組んだままの女を引き剥がす。
「あんた、ニーナにしか優しく出来ないわけ?」
それなりに見てくれは悪くない女で、仕事をよく理解してるという雰囲気は感じ取れた。
「まさか、お前……ムツミか?」
「あ、知ってる?ってことは……」
「その先は口に出すな」
「そう。分かった」
聞いていた通り、ムツミは話が早くて助かる。
無駄にあれこれ聞かれるのも面倒だった帳は、ソファーに腰を降ろし煙草を吸う。
その帳の横でムツミはジロジロと視線を向け「アンタは別件っぽい」と独りでに納得する。
「アイツはどうしてる?」
「ニーナ?」
「それ以外誰がいんだよ」
聞くだけ聞いたらさっさと帰るつもりだった。怪我してるくらいじゃ動く気も起きない帳にムツミは深刻な表情で揺らぐ紫煙を見つめる。
「ニーナは……記憶喪失になった」
ムツミから出た言葉に帳は、鈍器で殴られる程の衝撃を承っ。