Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
ムツミは帳の様子を伺いながらも、ニーナの事を説明する。
「ニーナが脱走の手助けをして従業員にボコボコにされたせいで記憶喪失になった」
「それはめでたい程のバカだな」
「そのせいで記憶が子供の頃まで戻って精神的にも中身は3歳児のままなのよ」
「ただでさえ日本語の出来ねぇバカがますますバカになったのか」
「ほんと、バカだって思うでしょ?あたしもそう思う。でもあの子、ニーナはあたしにとって天使なの。何言ってんだって思うかもしれないけど……」
確かに壊れた天使だった。
自分の置かれてる状況に、恨み辛み文句の一つ言わず、ただ微笑む。
「痛いの嫌いなのにあたしの為に“専門”に行ってくれて、泣きながらあたしに笑ったんだよ」
ムツミの瞳に少しだけ涙が浮かぶ。
「理解してんのか分かんないけどあたしが痛い思いをするのはイヤだって言うんだ」
「……バカだな」
「そうね。ニーナはバカな子だよ。だからアンタがあの子を救ってあげて」