Deep Night《R18版》
第7章 Tiger
借りた金の入った鞄を抱きしめながらすぐに店に向かった。
約束をした男は驚いた顔をして帳を見ていたが手元を見てすぐに笑った。
「へぇ」
「先に母さんを返してくれ!」
「母親、でいいんだな?」
「母さんに残りの50万用意させたら妹を迎えに行く!」
「分かった」
引っ手繰るように金を奪い、数えながら店に戻る男の後ろを見つめながら、母親を救えてホッとする気持ちと、まだ残されている妹を早く救わなければと焦る気持ちで男を待った。
待っている間は数分が何時間にも感じた。
「義虎!!」
地下から上げって来た母親が帳を見て走り出す。
ぎゅっと抱きしめ泣きながら「ありがとう」と震える声で言う。
早く此処から立ち去りたいと乞う母親に、後ろ髪を引かれる思いで帳は貧困街を出た。