Deep Night《R18版》
第4章 No.345
「名前は?」
再度問う男はミヨコを値踏みするように下から上までジロジロと視線を向ける。
もしかしてこれがニーナの太客かと察したミヨコは小耳に挟む程度でしか聞いた事が無いものの、身なりはピシッとしていて今まで相手した客の中では一番綺麗な顔をした男だとニーナが自慢気に話していた事を思い出す。
多分それで合っているとこの男はニーナの客だと分かった瞬間に緊張が走った。
「345番です」
「なんて呼ばれてる?」
「ミヨコです」
「ミヨコ、か」
「はい」
「適当に座れ。日本語は…通じるな?」
「はい。2年前まで普通に生活してたので」
「なら話は早いな。ニーナはどうした?」
「え?」
「従業員には風邪を拗らせていると断られた」
「あ、……そうです。なんかお客さんに風邪移されたみたいで今はお休みを頂いてます」