Deep Night《R18版》
第2章 No.217
男が連れてきた場所は先程の部屋とは違いしっかりと仕切られた鉄のドアがあった。
そのドアを開けると綺麗なベッドがあり一段と明るい室内にニーナは眩しそうに目を細める。
「帳(トバリ)様お待たせ致しました」
深く頭を下げる男にニーナはびっくりして目を見開く。
いつも偉そうな男の姿がなんとも情けなく可哀想に見え驚くニーナに男は横目に睨み打ちをして「ごゆっくりお楽しみくださいませ」と重たそうなドアを閉めた。
「おい」
閉められたドアに視線を向けたままでいるニーナにイラついた声で声を掛ける客にハッとして「いらっしゃいませ」と慌てて挨拶をする。
ーー客を怒らせると痛い思いをする。
その意味が分からなくてもただ身体が痛くなるだけだと分かっていたニーナは客の様子を伺うように目を向ける。
「名前は」
「名前はありません。217番です」
軽い受け答えは出来るくらいは喋れるニーナは殆ど客と喋ったことが無い。その為どこまで言葉が通じるか分からず足元を見つめていた。
「おい、こっち見ろ」
呼び掛けられ視線をゆっくりと客の方に持っていくとソファーに座った男が煙草を吸いながらニーナをジッと見つめていた。