Deep Night《R18版》
第6章 No.623
尚も止まらぬムツミの愚痴は身の上話へ突入し、些か周りにいる女達も呆れ顔だ。
「あたしはホストに貢いで闇金で借金して逃げ切れなくて此処に売られたんだけどさ、そんならセクシー女優やるっつうの!って逆ギレしたら刺青入りの女は金にならねぇとか逆に断られたんだけど!」
「そりゃ災難だ」
「まぁ太股に龍だの鬼だのってごちゃごちゃ入ってれば絵面的に萎えるしね」
ムツミの太股には立派な刺青が絵画のように描かれている。
「刺青いいじゃないか、アンタに似合ってるよ」
「それにしても煙草すら吸わせてくれないこんな店さっさと辞めてやりたいけどキッチリ働かないと今まで働いた店の中でダントツでやばい末路があるから大人しくしてるわけよ」
「それが賢い選択だ。アンタは上手く生きてるよ」
「だってさ、いくらピル飲まされてるからって妊娠しないわけじゃないし、出来た子はみんな消えるし。ちょっと病気になっただけでも居なくなるからマジでビビる」
ブルブルと大袈裟に身震いするムツミに呆れて笑う女は毎度同じ愚痴を繰り返しては現実逃避するムツミに慣れていた。
「周りが口々に噂する臓器売買とか人身売買とかマジ怖いっつうの。信憑性があるから尚更ビビるわ」