Deep Night《R18版》
第6章 No.623
「217番、仕事だ」
仕事に呼ばれるとムツミの膝枕で寝てたニーナを起こす。
「頑張っといで」
声を掛けるムツミはニーナに“頑張る”意味を理解してないのは百も承知だった。
ムツミも意味を聞かれたら返答に困るだろう。
「頑張るは頑張るだよ」としか言いようがない。
従業員に怒られながら仕事に行くニーナを横目に羨ましそうに見つめるミヨコにムツミは声を掛けた。
「ミヨコも指名が欲しければサービスしなよ。ちょっと頑張ればアンタも指名もらえるよ」
「もう後がないからどうでもいい」
「投げやりになるのも分かるけど生きたいって思うなら努力も必要だと思うけどね」
「だから?」
「こんな所とはいえこんな所で生きてるんだからさ、あたし達は」
膝を抱えて伏せるミヨコに声を掛けても返答はなかった。