Deep Night《R18版》
第6章 No.623
「は……脱走者?」
ムツミにとっては突然の出来事だった。
ニーナが脱走の手助けをしたと大騒ぎになった店内は酷い混乱状態でムツミは訳の分からぬまま騒ぎに不安を感じていた。
「騒ぐな、お前等はいつも通り仕事をしろ」
従業員の指示に従うも後日には一番人気のネェさんが惚れた客と一緒に逃げたことが店にとっては大きな痛手だったと噂になっていた。
そして脱走の手助けをしたニーナは酷い目にあっているのだと姿の見えないことが証拠だとムツミは判断した。
「345番、仕事だ」
同時期に珍しくミヨコに客が付いた事を喜ぶムツミに対して嫌そうな顔で仕事に着いたが帰って来たときは青ざめた顔をしていた。
失敗したと表情から読み取るムツミは尻を叩くように声を掛ける。
「そんなんじゃ次はないよ」
脅しを掛けると益々青ざめるミヨコにムツミは掛ける言葉を間違えたのだった。