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幕末へ飛べ!歴史を修正せよ

第1章 タイムトンネル、開通

それは、いわゆる身分証明のお墨付きだった。
あのサムライは、徳川家斉の隠し孫だったのか…。
もちろん公式の徳川家系図には、大村斉慶、大村小次郎の名はない。あのサムライは、あんな山中で命を落とし、歴史の闇に消えたんだなあ、と感慨に耽る。

喉が乾いた。コーヒーを入れよう…
あ、そうだ、電気もコーヒーメーカーもなかったんだ。

ふと自室を出て、驚いた。
台所に母がいた。炊飯器がシュンシュン湯気を起てている。
弟はとみると、部屋でテレビゲームをしている。
やがて父が帰宅して晩酌をし始めた。
外に出ると、目の前にマンション。近くに駐車場、銀行があった。
現代の本来の風景に戻っていた。

いったいどうなっているんだ?まるで狐につままれたよう。
机の上の箱を見た。ひどく重要な歴史の遺物を拾ったものだと興奮していたが、その熱気が冷めた。

前回は、拾い上げなかった。
今回は、拾い上げた。
これはつまり、自分が歴史に介入したということだ。すると、本来の歴史に戻れた。介入しなかったら、歴史が変わってしまった。

急に、カラダがわなわなと震え出した。天が自分に使命を与えていることに気がついた、からだ。

歴史の本を開いてみた。
パラパラとめくり、やがて幕末あたりにさしかかった。

あっ!!!???

なんと!?
ペリー来航以後の、いわゆる安政年間の記述が全部、消えていた。

慌てて弟を呼んだ。本を見せた。
「字が、消えてる!」
しかし弟は、怪訝な顔をするだけだった。
「にいちゃん、寝ぼけてんの?」
弟には、記述が見えているようだった。
………。

これで、確信した。

天が自分に、歴史に介入して本来の歴史を実現せよと、使命を与えていることを…。

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