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幕末へ飛べ!歴史を修正せよ

第3章 取り急ぎ準備

半年間の鍛練は、過酷なものになった。何せ、失敗が許されない。

剣術の基礎は、1ヵ月で何とか身につけることができた。
そこでタイムトンネルを開き、江戸時代の柳生流剣術に入塾する措置をとった。正式の入塾でなく、試し入塾。
幕末のこういった塾は、需要が増えたため試し入塾を受け入れているところが多かったのだ。近藤勇らがサムライでもないのに剣術を習えたのは、そういうことだった。天下の柳生流でさえ、であった。

女子も剣術を習いたがったが、男尊女卑の儒学思想の時代。諦めてもらうしかなかった。

天命を受けた男女構成は、男子39名、女子11名だった。

女子のひとり、上村頂(かむらてん)さんはいわゆる理系女子で、理系が苦手の自分にはチンプンカンプンのアルゴリズム解析を担当してもらっていた。
「歴史変換、半年ぎりぎり」
の判断は彼女の解析だった。

50人会合は、次第に回数が増えた。各自の携帯、スマホ、パソコンなどで会合を持ったが、タイムトンネルの向こうからは一切通じなかった。

細かい打ち合わせもした。
タイムトンネルの向こうの時代に一切証拠を残さないこと。
文書は避け、口頭で人間関係を構築する。当時のくずし字は読めないから、一石二鳥だった。
やむをえず文書を作った場合は、後日責任を持って消し去ること。
自分たちが歴史に存在したことを知られてはならない。
もちろん、人々の記憶には残るだろう。しかし記憶は、時と共に薄れゆくものだ。

結局、当時の人間関係構築の役割は、自分と川先氏が主に担うことになった。
50人中最も豊富に歴史知識を有していたのが、自分だったからだ。自分が策士として、大村小次郎を支える。
自分の役名を決めた。
「佐助と名乗ります」
サスケ?有名な忍者アニメを連想されたらしい。
「助ける、という意味です」
これからは普段の会合でも、佐助、小次郎ぎみ、などと役名で呼びあうことも決めた。

あと、自分たちが活動しやすいように、情報の精査もした。
第1回ミッション先の紀州徳川家をタイムトンネル開通し、有益な情報を摂取した。そのなかには、驚くべき歴史の真実が少なからず含まれていた。

紀州徳川家の主席家老にのみ代々口伝される機密事項を、得ることができた。
その機密事項とは?

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