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林間学校

第5章 綾音と不思議な世界

でも必死に走って何とか巨大な怪物たちからは逃げることができたらしい。

はあはあと息を切らせてお互いの無事を喜び合う。

安心するとママちゃんや聖良のことが浮かんできた。こんなワケの分からない世界に迷いこんでしまってもうママちゃんや聖良には会えないかも知れない。

「もうみんなには会えないかも知れないね。あたしたちずっとここにいるのかな?」

翔太の心を見透かしたように不意に綾音が言った。自分も不安なんだろう、声はか細かった。

「ずっと綾音と一緒にいれるんならオレは一生ここにいてもいいけどな」

翔太は綾音への想いを口にしてしまって顔を赤らめる。綾音もまた恥ずかしそうにうつむいた。その瞬間にザアアっと雨が降ってきた。かなり激しい雨だ。

翔太はまた綾音の手を取って走り出した。このまま打たれていたら死んでしまうかも知れないと思えるぐらいの激しい雨だ。何とか雨のしのげるところに行かなくてはと夢中で走った。

どこをどう走ったのか分からないけど気がつくとふたりは小屋の中にいた。暖炉や囲炉裏がある絵本に出てくるような小屋だ。しかも小屋には誰もいない。

ひと安心して綾音を見るとびしょ濡れの体操服はぴたっと体に貼りついてボディラインがはっきりと浮かび上がっている。クラスにはおっぱいが大きな女子がいるから目立たない綾音はちっぱいだと思っていたが、こうして見ると立派な女だ。しかもオリエンテーリングの時のようにジャージを着ているわけじゃないから白いブラジャーが透けている。

「もう、エッチなんだから」

ずぶ濡れの綾音を翔太がどんな目で見ているかは綾音にすぐに見透かされた。

「ご、ごめん・・」

翔太はもう平謝りに謝るしかなかった。何で男はこうも女のコをいやらしい目でしか見れないのだろう。つくづく男という者がイヤななるし、男である自分もイヤになる。

そんな翔太を見て綾音はクスクスと面白そうに笑う。踞って透けている体が見えないような体勢を取っている。

「いいわ、許してあげる。でも、もう他の女のコをいやらしい目でみたりしちゃあダメよ」

綾音に諭すように言われて翔太は女風呂覗きなどという許されない大罪を犯してしまったことを思い出した。こんなワケの分からない世界を彷徨っているともう随分と昔のことのように思える。

「ゆ、許してくれるのか・・」

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