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Nectar

第13章 守れなかったもの

声が出ていない上に泣いてしまっている蓮の声は切なすぎる。

蓮「でも…もっと前から愛梨はちょっとずつ壊れてた。きっともうあの時は限界に近いぐらいだったんだと思う。千里…俺は愛梨の何を見てきたんだろう…」

泣き崩れた蓮を抱き締めようとしたその時、部屋のドアが勢い良く開いた。

裕翔「おい!お前何泣いてんだよ。全部聞いてたけど、ツラいのはお前よりアイツだろ!」

…盗み聞きしてたのに何でそんなに偉そうなんだよ。

ズカズカと部屋に入ってくる祐兄。

ドアからは焦った表情でコッチを覗くメンバーの顔が見えた。

裕翔「何でアイツがお前に何も言わなかったか分かるか?お前を守りたかったからだろ!」

蓮「でも相談してくれてたらっ!…」

裕翔「どうなってた?お前に何が出来る?お前が動いたら余計にややこしくなるだけだろ。それどころかメンバーにまで迷惑が掛かる。アイツにはそれが全部分かってたんだろ。」

千里「うん。蓮、由奈ちゃんも言ってた。“蓮もグループも大事な時期だから…”って蓮に言う事は嫌がってたって。」

そこまで言うと蓮は黙り込んでしまった。

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