
U15っぽいけど実際はR18
第2章 太陽
「うっわー、エグいなぁ」
「ホトケさんの前だ。手くらい合わせろ」
「だってこの人パンツ脱いでますよ。いろいろ見えすぎてますし」
悪気はない。きっとこいつはそれがおかしいとも思っていない。それが問題だ。
「何でパンツ脱いでるんですかね」
「それを捜査するのが俺らの役目だろ」
「他殺に見えます?」
「お前それ本気で言ってるのか」
「え、何がですか」
シートをくぐり、現場を離れる。ひょこひょことついてくる。
「櫛木さなんか怒ってますね。分かりますよ」
「分かってるならいちいち言うな。俺が気が立ってることくらい、俺が一番分かってる」
「ふーん」
髪をいじりながらタバコを取り出す。つられて自分も取り出そうとしたが、やめる。
「吸わないんですか」
「禁煙中でな」
「またまたぁ、我慢は身体に良くないですよ」
肩に置かれた手を少し強めに振り払ってしまう。しまった、と感じた。
「らしくないですよ、櫛木さん。ほんとどうしたんですか」
「俺はお前じゃないんだ」
「分かってますよ」
「分かってない。知ってるだけだ。お前は知ってるだけなんだ」
夕焼けが沈む住宅街。こいつはまた「分かってますって」と口だけ動かした。今は意味がわからない、やり場のないストレスの話。
