
U15っぽいけど実際はR18
第2章 太陽
「千秋さんスタンバイ入りまーす」
マネージャーの声。
音が消えていく。
汗が光で照らされる。
呼吸が穏やかだ。
広いステージも
今は自分の一部。
落ち着けばいい。
私は大丈夫だ。
「にししし、ちあきぃ。強くなったねぇ」
「ネズミ、今日は邪魔するな」
「みは、邪魔しなぁい。今日は千秋を邪魔しなぁい。それでいいのかい」
「それでいい」
拍手が聴覚を蘇らせる。
ステージが上昇する。
四万人の観客。
人生最初の晴れ舞台。
「ちあきぃ」
「邪魔はしないんじゃなかったのか」
「そうだったねぇ。すまないねぇ」
ネズミの健忘症には構ってられない。
失敗できないから。
成功するから。
今は気にしない。
音が大きくなっていく。
スポットライトよ
わたしを照らせ。
