
U15っぽいけど実際はR18
第2章 太陽
「聞いてくださいよ」
「聞いてあげますよ」
この話するのは何回目になるか。飽きもせず付き合って頂いてるお友達様には、頭が上がらない今日この頃であります。
事が起きたのは一週間前のこと。紳士風の初老の男性が一人で来店し、何故か諭吉を更衣室に入れ、その場を去ろうとした。私がそれを引き止め現金を返却。ただそれだけの話、では済まなかったのだ。
初老の言い分によると、連れが更衣室で着替えていると。その連れは知り合いではなく道すがら出会っただけであり、洋服代金を置いて帰ろうとした、と言うのだ。
「紳士だよねー、ほんと」
「私が気になってるのはそこじゃない」
「何さ」
「本気で聞いてるの?」
「本気で聞いてるよ」
初老の男性はつまらない嘘をつきそうには見えないし、その一万円で何かと繋がりたかった(分かりやすく言えばナンパ)訳ではないのだ。本当に連れがいて、本当に連れが消えてしまったのだ。少なくとも私はそう信じている。
「トイレの華子さんならぬ、更衣室の齋藤さんかな」
「齋藤さんって誰よ」
「仮名」
前言撤回、友達様はすでにこの話題には飽いている。エラーが発生しました。通信を終了します。
ずずずと甘い水を喉に流し込む。ファミレスでの話の話。
