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ビルの下でえんやこら

第1章 警備員

 当時、ヤクザよりも厄介な存在とされていた、犯罪組織「Black Line」。

 やり方は卑劣で、広い範囲で攻めかけるため、一般市民だけでなく、暴力団相手まで敵に回してもまったく怯まず、詐欺をはじめ、暴行拉致監禁、殺人にまで手をかける。

 その存在とアジトとされるビルを突き止めた警察は、40人あまりの幹部を一斉に逮捕。

 その当時、検事としてそれらを起訴したのが、サボさんだった。

 裁判の判決は有罪。複数人が死刑となり、そのボスとされる、呂布和哉(りょふかずや)が、執行された。

 その後、BLを裁いた、裁判官が行方不明となり、被害者側の弁護士も遺体として発見された。

 もちろん、サボさんも標的にされた。

「やつらはしつこかった。家族でキャンプの帰りに、高速道路の上で、我が家の車を、あおってきやがったんだ」

「なんてやつらだよ……」

 そらジローは、拳に力を入れる。

「案の定、車は事故を起こした。だが、俺はエアバックで助かったんだが、突然、何者かに頭を殴られて……」

 サボさんは口を押さえる。
  
「や、もういいよ……ごめん、話をさせて……ほんと、ごめん」

 そらジローは何度も頭を下げる。

「いやいや、ずっと胸にしまったままじゃ、家族が浮かばれないよ。おそらく、死んでしまっただろうし……」

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