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ビルの下でえんやこら

第1章 警備員

「え、じゃあ、奥さんと子供さんは……」

「さぁな……俺は破損した車の中で、頭から血を流した状態で気絶していた。妻と子は、すでに、いなかった。連れ去られてどうなったかは、わからない」

 話を聞いて、そらジローが立ち上がる。

「なんて連中なんだ!! 警察は、なにやってんだ!!」

「しょうがねぇや。いまみたいに、あちらこちらに防犯カメラがある世の中じゃねえし、警察の捜査も甘かったんだ。手がかりは残さないのがやつらだ。当時の我々が追い詰めた時は、暴力団も協力してくれたんだ。警察と暴力団が手を組むなんて、あってはならないし、公表も出来なかったんだ。だから、当時は警察は暴力団に対して強く対立もできなかったな」

「でも、よくサボさん、生きてましたよね」

「それがBLたちの脅しだ。呂布が死刑になった時、すでに妻と息子は標的にされていたんだ。車は修理できないくらいに破損した。ま、後は、保険でなんとかなったがな……なぜ、あそこで、二人を守れなかったか……それが唯一、拾えなかった運命の落とし物だな」

 そらジローは、言葉が出なかった。

「空くん、今は、BL達の勢力も弱く、世間が名を忘れるほど、扱いが弱くなっている。心配するこなぁないよ」

「でも……許せないっすよ」

 そらジローは唇を噛み締めながら、項垂れた。

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