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ビルの下でえんやこら

第2章 鏡

 そうなると、あの子供はなんだ?

 なにしに来た?

 そう思いながら、気が付けばトイレの前にきていた。

 このビルの3階には、唯一の共同トイレがある。

 病院や、会社等が使用する広い場所には、専用にトイレが設けてあるが、小さな部屋にはトイレがなく、3階のトイレまで足を運ばなければならない。

 もちろん、トイレの中まで見て回らなければならない。

 トイレは男女別だが、各スペースがわりと狭い。いつもなら扉を開けて、ライトでちょろっと見るだけで終わる。

 トイレの中を見るのが、一番緊張する。大きく息をした後、まずは男子トイレの扉を開けるのだが、今回は、子供が隠れてるかもしれないということもあり、中まで入り、1つ1つの個室まで確かめなければならない。

「誰かいますか?」

 声をかける。だが、返事はない。

 声を潜めてるのかもしれない。

 どっちにしろ、入らなければならない。

 ゆっくりと中に入り、男子トイレの1つしかない個室の扉を開ける。

(いたら、どうしよう……)

 そう思えば思うほど、激しく恐怖心が沸き上がる。

 それほど、暑いわけでもないのに、汗が絶え間無く流れ続ける。

 中は普通に便器があるだけだ。

 ホッとして、トイレから出た……

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