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ビルの下でえんやこら

第2章 鏡

 同様に女子トイレも調べて見たが、おかしな様子はなかった。

 トイレさえ見れば、この階は終わりだ。

 各部屋には入ることが出来ないため、4階5階の廊下を見れば終わりだ。

 あの子供は、どこにいるんだ?

 4階にはいなかった。

「上にいるのか? まさか、エレベーターで下りたかな?」

 出来れば、いてほしくないと思った。

 5階に上がると、威嚇するように、腕を大きく広げ、足もがに股に「だぁーっ!」と叫びながら、最後の1段を飛び上がるように乗った。

 だが、子供の姿は無かった。

「あれ?」

 そらジローは、床になにか落ちているのを見付けた。

 手に取ると、それは直径3センチほどの、「お面ウォーカー」と書かれた缶バッジだった。

「誰かが落としたんだろう。預かっておくか」

 すべての階を見回れば、後は、エレベーターで下る。

 1階のエレベーターの前は、すぐに管理事務所だ。

 そらジローは、エレベーターの前に立ち、ボタンを押そうとする。

 だが、エレベーターは、3階……4階と上がってくる。

(誰か乗ってる?)

 そのまま、エレベーターを待った。

 パアーッと下から白い明かりが現れ、エレベーターが到着。

 だが、扉の小窓を見たかぎり、だれも乗っていない。

 エレベーターの扉は、そらジローを誘うように開いた。

 誰もいない。

「えっ!?」

 そらジローは、戸惑った。

 なぜ、エレベーターは上がって来たのだろう?

 誰かが5階のボタンを押さなきゃ、上がってこれないはずだ。

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