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ビルの下でえんやこら

第2章 鏡

 とにかく、下りて事務所に戻ろう。

 そらジローは、エレベーターに乗り、1階を押した。

 4階……3階……2階……と、なにも思う間もなく、1階に到着。

 エレベーターを出て、少し右に行けば、すぐ事務所だ。

「戻りました」とドアを開ける。

 中にいたサボさんは、顔を蒼白にし、声を震わせた。

「そ……空くん……一人か?」

「そうですけど……」

「エレベーターで……一緒に下りてきた、あ、あの女は誰だ?」

「はぁっ!?」

 女? そんな人はいなかった。

「いやいや、僕一人ですけど」

 サボさんは、画面を指差した。

「いや……きみが、エレベーターに乗った時、エレベーターの防犯カメラに、きみと、髪の長い女性がいたんだ……」

「女性?」

 そらジローは、パソコンの前に居場所を変え、エレベーターの画像に切り替えた。

「今は、誰も乗ってません。これ、録画されてるんですよね? 見れますか?」

「いや、俺は切り替えしか、やり方を知らない。だが、いたんだ。肩までの髪で、白いワンピースを着た女だ」

 サボさんは、そう言いながら、やたらドアの向こう側を気にしている。

 そらジローは他の画像に切り替える。

「あれ?」

 3階通路の画像で、そらジローはなにかに気付いた。

「通路の消火器の向こう側にいるの……あれ、さっきの子供じゃないっすか?」 

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