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ビルの下でえんやこら

第2章 鏡

 サボさんは、目を細める。

 たしかに、言われて見れば、人影のようなものが、見えなくもない。

「空くん。そう言えばさっき、見回りに行った時、子供の姿は無かったんのか?」

「それが、見当たらなかったんです」

「ひょっとして、階段から奥近くをライトで照らして終わり……じゃないだろうね?」

「え? いや、そんなこと……」

「アハハ、冗談だよ。ちゃんと見てたよ」

「そうですよ、ちゃんと見てましたよ」 

「だが、カメラを通して見ても、たしかに子供の姿は見えなかった。どこに隠れてたのかのぅ」

「もう1回見て来ましょうか?」

「うむ、ひょっとしたら、親に虐待を受けてる可能性もあるな」

「虐待っすか?」

「例えば、雨の降る深夜に、外に出して鍵をかけて、反省するまでここにいろって言われたかもしれん。逃げるように、ここに来たんじゃないか?」

「あり得ますよ! さすが、サボさんです」

「いやいや、わからないよ。例えばの話だからな」

 そらジローは再び懐中電灯を取った。

「じゃ、行ってきます。場所は3階ですね!」

 いま、確認出来るうちに、連れてこよう。場所はわかった。階段だと音で逃げられる。

 エレベーターで行こう。

 そう思って、ドアを開けた。

 すると、目の前には、身長が高く、スーツを着た色白の、男性が立っていた。

「うわっ!」

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