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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 サボさんは、言った。

「お前達の仲間……どこにいったか知りたくないか?」

 武は顔中、玉のような汗をにじませながら小刻みに顔を震わす。

「わかった……わかったぞ……俺達……仲間がいなくなったのは捕まったからじゃねぇ……これか……これかよっ!!」

 サボさんは、鼻で笑う。

「ついてこい」

「なにをするつもりだ……」

「見せてやる……」

 サボさんは、歩き出す。そこはなにもかも真逆の鏡の世界ではなく、薄暗い闇の世界だった。

 サボさんが立ち止まると、武も足を止めた。

 体が、一瞬フワッとした。

 いま、立っている場所が下がっているのがわかる。

「エレベーターか? サボさん……俺をどこに連れていくつもりだ?」

「黙ってろ」

「冷たいこと言わないでくれよ……俺が出来る償いは、いくらでもやる。俺は、見ていただけで、あの二人には指1本触れていないただ、見ていた……俺は一番のぺーぺーだったんだ……なにも出来ない、なにかしたら、殺されちまう……だから、許してくれ……許して……ください」

 床が止まった。

「ついたぞ」

 サボさんは、正面を指差した。

「え……」

 武は目を細めながら、サボさんが示す方向を見る。

 やがて、ぼんやりと、その姿が見えてきた。

「え……えぇ……」
  

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