テキストサイズ

ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 その言葉をすべて聞き入れることもなく、武の体は壁に埋もれていった。

 その様子を見届けると、サボさんは、大きく息を吐き、その場に大の字になった。

「終わったなぁ……終わったんだよなぁ……貞子、光希弥」

 サボさんの傍に、二人の姿が現れた。

「……俺を、責めるのか?」

 そう問いかけても、なにも言わない。
 
 無言、無表情で、サボさんを見続けている。

 サボさんは、壁を指差した。

「貞子、俺もあの中へ、埋めてくれないか」

 そう告げるが、反応はない。

「俺も、本当は正義ぶって物を言える立場じゃあ、ないんだよ。だから、三人でいっしょに、ここを墓として入ろうや」

 サボさんは、そう言って、下から二人の顔を見上げる。

 サボさんは、続けて言った。

「俺はなぁ、違法薬物の常習者なんだ。だがなぁ、仕方ねぇんだよ。これを飲んだら、あの時をハッキリと思い出すんだよ。三人で楽しくキャンプをしていたあの頃を……」

 貞子と光希弥は、サボさんの顔を見ている。

「二人の顔を、動いている姿を見るには、それしかなかったんだ。高血圧の薬だと偽ってな……飲んでたんだよ。しかもな、その入手先が……アラジンて組織……まさかの、BLの姉妹グループだ。笑わせるよな」

 サボさんは、額に手を当てて笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ