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ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 サボさんは、体を起こし、光希弥の体に触れた。

「光希弥、お父さんな、1つだけ、悪いことをしちゃってたよ。魔が差すってんだな。精神安定剤飲んでも落ち着かなくてな……悪い薬を飲んだんだ。いけないとはわかっておきながらな……」

 サボさんは、貞子を見た。

「おい、貞子。もう鏡は閉じてくれ。俺は、もう出ないから。ここにいるから」

 そう言うと、サボさんは、あるものを見て驚いた。

 それは、まったく反応のない貞子の目から、光るものが溢れ出ていたからだ。

「貞子……泣いてるのか?」

 話しかけてはみるが、やはりなにも返してはこない。

 だが、感情だけは残っている……と、サボさんは、思った。

 貞子の目から流れた涙は、頬を濡らしながら、ポツリと雨のように落ちていった。









「サボさん! サボさん! しっかりしてください!」

 そらジローの声だ。

 サボさんは、目を覚ました。

「ん……ん?」

「あ、よかった、サボさん。やっと起きてくれた」

「お? 空くんか?」

「なにを言ってんすか、ずっと眠ってて、ぜんぜん起きないめんだからさぁ……」

 サボさんは、周りを見回す。

 いつもの、ビルの事務室だ。

 まさかの夢?

 それにしては、リアリティのある夢だった。

 だが、どこからが夢だったのだろう?

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