ビルの下でえんやこら
第1章 警備員
時計の針は、深夜1時を示していた。
サボさんは、ややウトウトと、垂れた頭を揺らしていた。
「サボさん、眠いんすか?」と声をかける。
「んっ!? ん、おぅ、なんだ、事務所か」
サボさんは、辺りを見回し、そらジローの顔を見て現実に帰った。
「寝てましたね」
「おう、すまない。薬飲んでるから、眠くて、夢を見てな……」
「薬って、血圧の薬でしょ? 大丈夫っすか? なんの夢見てたんすか?」
「いや、まだ子供が小さい頃の夢でな……」
「子供っすか」
そらジローは、立ち上がり、電気ボットに水を入れた。
「あぁ、嫁さんと、子供と……子供がまだ小学生の頃の夢だったよ」
「子供さん、女の子ですか?」
「息子だよ」
そらジローはガックリと肩を落とした。紹介してもらおうとでも、思ったのか?
「息子さんでしたか。いくつになるんです?」と、そらジローはボットの電源を入れ、お湯を沸かす。
「うむ、生きていれば今ごろ30は過ぎてるだろうな」
「えっ……」
そらジローは2つのカップに、インスタントコーヒーを入れていたが、途中で手を止めた。
「あ、すいません」
「いや、いいよ。亡くなってるとは、言いきれないから」
「すいません……」
次の言葉が見付からない。そらジローの様子を察してか、サボさんが口を開く。
「いや、実は俺が若い頃、嫁さんと急にいなくなってなぁ……」
「家出……ですか?」
「たぶんな。いまだに消息不明なんだよ」
「え!? 連絡つかないんすか?」
「今ごろ、息子と二人でどこにいるのやら……ま、俺も離婚というかたちにして、新しい嫁さんと暮らしているんだが、やっぱり、息子のことは気になるよ」
話を聞きながら、そらジローはカップに、お湯を入れた。
「眠気覚ましに……」
「すまんな」
サボさんは、ややウトウトと、垂れた頭を揺らしていた。
「サボさん、眠いんすか?」と声をかける。
「んっ!? ん、おぅ、なんだ、事務所か」
サボさんは、辺りを見回し、そらジローの顔を見て現実に帰った。
「寝てましたね」
「おう、すまない。薬飲んでるから、眠くて、夢を見てな……」
「薬って、血圧の薬でしょ? 大丈夫っすか? なんの夢見てたんすか?」
「いや、まだ子供が小さい頃の夢でな……」
「子供っすか」
そらジローは、立ち上がり、電気ボットに水を入れた。
「あぁ、嫁さんと、子供と……子供がまだ小学生の頃の夢だったよ」
「子供さん、女の子ですか?」
「息子だよ」
そらジローはガックリと肩を落とした。紹介してもらおうとでも、思ったのか?
「息子さんでしたか。いくつになるんです?」と、そらジローはボットの電源を入れ、お湯を沸かす。
「うむ、生きていれば今ごろ30は過ぎてるだろうな」
「えっ……」
そらジローは2つのカップに、インスタントコーヒーを入れていたが、途中で手を止めた。
「あ、すいません」
「いや、いいよ。亡くなってるとは、言いきれないから」
「すいません……」
次の言葉が見付からない。そらジローの様子を察してか、サボさんが口を開く。
「いや、実は俺が若い頃、嫁さんと急にいなくなってなぁ……」
「家出……ですか?」
「たぶんな。いまだに消息不明なんだよ」
「え!? 連絡つかないんすか?」
「今ごろ、息子と二人でどこにいるのやら……ま、俺も離婚というかたちにして、新しい嫁さんと暮らしているんだが、やっぱり、息子のことは気になるよ」
話を聞きながら、そらジローはカップに、お湯を入れた。
「眠気覚ましに……」
「すまんな」