テキストサイズ

ビルの下でえんやこら

第4章 真相

 手には、あの缶バッジを握っている。

 間違いない。昔、息子と見た、キャラクターショーのバッジだ。

「おい、管理人さんは?」と聞くと、そらジローは、床の間を雑巾で拭きながら、「呼んだんですが、まだ来ないんです」と言った。

「呼んだ?」

 サボさんは、財布の中を見た。

 錠剤が二粒ほど入っている。

(間違いない……これは、俺が手に入れた、違法ドラッグ)

「おい、管理人は鏡の中には入ったか?」

 とりあえず、そらジローに聞いてみた。

「なに言ってんすか。あの外人が、この鏡から飛び出して来たから、管理人さんを呼ぶって話になったんじゃないですか、その管理人さんが来てないんですよ」

「……ほぅ……そうか」

「鳳仙花なんて無いですよ」

「言ってないわい」

 サボさんはそう言った後に、思った。

(夢? いや、あれは夢じゃない鏡にいたのは、確かなんだ)

 だが、その後も管理人が現れることはなかった。

 だが、2日後、自宅で昭玄武(あきつねたけし)が遺体で見付かった。

 死亡原因は急性心不全とみられた。

 武は、亡くなった自宅のベッドの上に、謎の文章を残していた。

 内容は、ビルの下に、遺体があるというものだった。

 警察関係者と解体業者の手により、ビルの下から、二人の白骨化した遺体が見付かった。一人は女性、もう一人は子供のものとみられた。

 さらに、ビルの壁からは何体もの、人間のものとみられる骨が見付かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ