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僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

なんだこれなんだこれ、としか繰り返さない頭。
行きたくなかったけど、坊主の前まで辰巳に付き添われる。

振り返って、柊の後ろに本條がくっつく理由がわかった。
あいつ、背中に突きつけられてるな。

で、この女、誰だ?

ベールでよくは見えないけど、きっと知らない顔。

その横に控える男は、見たことある気もするんだけどな。

状況把握に努めていると、肩をポンと叩かれた。
あの坊主だ。

「新郎、誓いますか?」

と言われて。
"誓うわけねぇだろ"と叫んだ人間はいるんだろうか?
"誓う"と言ったところで、法的拘束力はない。

それでも、彼女以外となんて、そんなのは嫌だ、絶対に嫌だ。
けど。

柊を見る。
と、ヤツは笑う。。

俺は明言する。

「誓います」

そう、この誓いは、柊と生きるための誓いだ。
目的語を省略した坊主が悪い。

枕に乗った指輪を差し出されても、この輪っかを相手の指にはめるだけ。
そこに祝福の意味は何もないさ。

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