テキストサイズ

僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

俺は、改めて室内を見回した。
見たところ、この部屋はスイート…てことは最上階かその辺り。
窓からダイブ、は無理だろうな。

柊…どうしてるかな?

そう思ってポケットに手を突っ込んだ。

その途端に、女が叫ぶ。

「何してるんですかっ!その手を離しなさいっ」

「何って、スマホを」

取ろうとしただけなんだけど。

「そんなこと言って、催涙ガスとか麻酔銃とかアイアン・メイデンとか出すんでしょう?」

「マジシャンか、俺は…」

なんで俺が、鉄の拷問器具を持ち歩かにゃならんのだ。それとも新手の大人のオモチャか?
ぶつっと返しながら、スマホを出す。

「離しなさいと言ったでしょう?」

受ける義務のない命令を無視した俺は、スマホをチェック。

連絡なしか。

あいつも閉じ込められて、見張られてるのかもしれねぇな。

伝って行けるかを向こうの窓から確認したいけど、また叫ばれるよなぁ。
こいつの声、耳にキンキンくるんだよなぁ。

えーと。
この女の位置からだと、逆に遠ざかるからオッケーだな。
そう計算して、横のソファーに腰かけた。

なのに、怒鳴られた。

「動くなって言ったでしょう?これが見えないの?」

言ってねぇよ…お前が言ったのは"近づくな"と"手を離せ"だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ