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僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

「俺は何もしてねーだろ。
あ、電話だ、ちょっと待っとけ。刺すなよ?」

威嚇する女を尻目に、ブーンと震えるスマホを耳にくっつけた。

「おい、アル。喧嘩するなら、五億くれ」

それだけ言って、辰巳は切った。
かけ直しても、繋がらない。

カメラは、今のところ見当たらない。
なら、マイクか…それとも、ここの壁、思ったよりも薄いのか?

聞こえてるんだったら、何で揉めてんのかわかるってもんだろ?
俺じゃなくて、この女に注意すべきだろ?

そして、俺は喧嘩をしてるつもりはない。
立派な人助けの真っ最中だ。

で、五億って何だよ…?

スマホをポケットにしまい終えた俺は、辰巳の言葉をなぞる。

金がほしいのか?
五億を約束すれば逃してやるとでも?
にしては、妙な金額だよな…。

俺に五億で買収されたとして、組織からの逃走資金にするならもっとふっかけねぇか?

単純にただ、言ってみたかっただけなのか?

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