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僕ら× 2nd.

第13章 ソーウ" キ プ 1 --Ar,Shu

危機はひとつ乗り越えたみたいだけど、半分以上はすっきりしねぇ。
俺ってどこまでもゲイで通ってるのか?
まあ、それも悪くないな。

俺は室内を見回った。
さして特徴もない、普通の一室。
窓には転落防止のストッパーがついていて、数センチしか開かなかった。
これを外すのは、他に道がないときにしとこ。

次いで、クローゼットを開ける俺に、女が尋ねてくる。

「宗樹様、お変わりない?式にはいらっしゃらなかったようですけど」

「いや、その呼び方、やめてくんね?キモ過ぎる」

探しものは、どこかなっと?

「何をおっしゃいます。宗樹様は私たちの恩人です」

「はあ?恩人?」

スマホの明かりで天井を照らす。

「父が失踪して傾きかけていた私の家を、立て直してくださいました。私がまだ幼かった頃の話ですが、泣いていた私を優しく抱き上げてくださった…あの慈悲深い瞳は、昨日の出来事のように思い出せます」

慈悲深いって、あれの、どこが?

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