
夏夜の煙
第1章 1人で吸うか、2人で吸うか
これでようやく話が見えた。
アタシが学校に来ようが来まいが別に自分的にはいいんだけど、俺の減給がかかってるから進級だけはしてくれねぇ?ってことか。
んなもん、もちろん答えは
「嫌です。先生とは今10分喋っただけですけど、ろくでもない人ってわかったので。」
冷たく突き放すと、
「えぇーーー!!!ひでぇよ!!オマエだって吸ってんだから分かるだろ!?近頃のたばこ税の高さ!」
そうすがりついてきた。
「めっちゃ分かりますけど…ってか生徒にしがみつかないでください。」
仮にも教師だろうに!!!
少し睨んでみても、先生には効果はないようで。
「オマエがタバコと俺の赤い糸握ってるんだよ…。」
目を虚ろにして、意味のわからないことをつぶやきだした。
「いや、だから無理…」
「じゃあ、わかった。いいよ、今すぐとは言わねぇ。一応後期の全授業出たら、進級はできるはずだから。それまで毎日会いに来るからな。」
「っ、はぁ!?」
毎日、こんなのの相手すんの!?
「秋まで毎日毎日学校行けって耳元で囁いてやる…。」
ふははははは、と不気味に笑う先生。
「無理無理無理!それ、虐待じゃ…」
「さっさと観念しろよ。タバコの恨みはしつこいぞぉ。じゃあな。ま、た、あ、し、た♡」
そうニッコリと微笑むと、先生は片手を上げて車の方に去っていった。
