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性歓寄宿舎【純情編】

第1章 歓びの時が始まる

列車に揺られること2時間。
午前9時半に、目的地に着いた。
車内では、僕はなつみのカラダにいっさい触れなかった。車中は閑散としていて、1車両に僕となつみの二人しかいない状態が1時間以上続いた。キスしようと思えば、胸に触ろうと思えばいくらでも機会はあったが、僕は触れようとしなかった。
それは、いわゆる嵐の前の静けさというものに近い。
もうすぐ情熱的なセックスの歓びの時が、ある。それを前にして、中途半端に手を出してはいけないという思考だ。手を出すなら、とことん最後まで、中に出すまでしなければいけないという気持ちがあった。
おかげで、僕となつみは変な緊張状態だった。

目的地は、山中に作られた広大な敷地、「国立寄宿舎」というのがその名称である。
僕となつみは、この日から2か月間の予定で、ここで生活する。二人きりの一つ屋根の下での生活ということは、知らされていた。
朝昼夕の食事や洗濯、掃除など一切の事柄は、寄宿舎がしてくれる。寄宿生は、ただなかに入り息をしていればよいだけだった。しかも費用は、無料。まるで天国だ。

いや、カップルには1つの義務を果たす必要があった。
<受精卵の提供>
1つ屋根の下で若い男女が過ごすと、当然セックスをする。
コンドームやピルの持ち込みは、禁止である。
ベッドのシーツや排水溝には精子センサーがついていて、精子が一滴でもこぼれたら通報される。つまり精子は、一滴残らず女子の体内へ注ぎ込まなければならない規則であった。
例外として、顔や胸など女子のカラダに精子をぶっかけることは許される。
そうして受精卵ができると、痛みのない後遺症のない器械により女子の胎内から取り出され、国が保管し育成する。

そう、カップルは出来た子供を産み育てることを免除されていた。これはまともな家庭を作れないことを意味する。
そしてこれは、若い男女が、心おきなくセックスに励むことができるということも意味していた。
純粋にセックスだけを目的に過ごす生活。

さらにもし希望があれば、9月以降も寄宿舎にとどまり通信教育を受けながら大学卒業資格を得て国家特別公務員として勤務することも可能であった。
その場合は、一生二人でセックスをし続けることになる。これを選んだカップルは、生殖能力がなくなった後も寄宿舎にとどまることが許される。
死ぬまでセックスにまい進できるのだった。

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