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スパダリは1日にして為らず!

第1章 それは何かの間違いです



「遙斗はかなりの人見知りなんだけど、悠季くんには最初から懐いたみたいだから、ぜひお願いしたいんだ」

「人見知り?」

とてもそんな風には見えなかったけど。だって凄くウェルカムな笑顔で出迎えてくれたし。

「うん。普通なら初対面では固まるのに、悠季くんにはそうじゃなかっただろ?な、ハル」

「ぼくね、おにいちゃんすきーっ」

遙斗が満面の笑みで悠季を見た。

いやいやいや。まだ何も知らないのに好きも嫌いもないだろう…と思うけれど、子ども相手にそれを疑う事も出来ず、悠季は言葉に詰まった。


「でもあの、子どもの相手ってのもした事ないんですけど」

家事能力ゼロに加え、普通この年代なら子どもの世話など縁はない。
何をすれば良いのか、相手と言うのは何をするのか、悠季には皆目検討が付かなかった。

「何でもかんでも付き合う必要はないけど、ちょっとした遊び相手になって欲しい。要はハルと一緒にいてくれれば」

「はあ…」

「ちなみに白ネコさんは時給幾らだった?」

「えーと、1250円です」

早川がうむ、と頷く。そして

「なら俺は1500円出そう」

「ホントですか?!」

ぽん、と気前良く提示された金額に思わず悠季は前のめり気味になった。

だって1500円はかなりの高時給だ。たかがバイトで、この地域での最低賃金が950円と言うのを考えたら破格とも言える。

でもその時給に見合う仕事が自分に出来るとも思えなくて、一瞬飛び付きそうになった自分を理性で抑えこんだ。

「少ない?なら1800円…面倒だから2000円?」

しかし悠季の様子を見て、時給が低いのかと思った早川がさらにとんでもない値段を口にする。

「ちがっ、違います!」

慌てて悠季は首をブンブンと横に振ってそれを力強く否定した。


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