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スパダリは1日にして為らず!

第1章 それは何かの間違いです



ドアの向こう、これまた洗濯かごなんだか物置なんだか分からない物体と化したソファーに悠然と座る1人の男が視界に入った。

年の頃は30代半ばと言った頃だろうか。座っていてもかなり背が高いのが分かる。
後ろに軽く撫でつけた髪は艶やかに黒く、何より目を引いたのはその容貌だった。

電話の声を裏切らない、いや、それ以上とも言えるどこぞの俳優かと思う程のイケメンなのだ。

落ち着いた格好良い大人そのものの、同じ男から見てもため息を吐きたくなる美貌。

しかし

その「壮絶に格好良い大人の男」が座っている物置…もといソファーと、その周りの散らかった部屋のコントラストはあまりにシュール過ぎた。

せっかくのイケメンが台無しだ。
台無しどころか、壊滅的だ。



「パパ!」

頭の中が混乱気味の悠季を気にする事なく、中に案内した子どもがタタタッと走ってイケメンにばふっと抱き付いた。

「ああ、ハル」

勢い良く膝に飛び乗る子どもを軽く支え、にっこりと笑った彼が悠季の方を見る。そして

「すまない。汚なくて」

良かった。汚いって自覚はあるんだ。

眉尻を下げて苦笑するその顔も、やっぱりイケメンだったからこその残念感は半端なかった。


「で、いつから来てくれる?」

「は?」

何の脈絡もなく、いきなり発せられた言葉に悠季は面食らった。

「いつから、って?」

「ハウスキーパーの面接に来てくれたんでしょ?男の子だからちょっとビックリしたけど、助かったよ」




ーーーーーえ?

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