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バルコニー交歓

第2章 停電逢瀬

「え」
僕のセンサーが、視線とは異なるものを感知した。

見ると、彼女の柔らかく優しげな表情があった。
美形な顔だちだけに、ぐっとくるものがある。
いや、それだけではなかった。
彼女の口元を見て、僕は、驚いた。

彼女の口が、すました口でなく、半開きになっていた。
そしてその中で、ピンク色をした舌が、うごめいていた。
その舌は、小さくうごめきながら、下の唇をなめたり、舌だけをうごめかしたり、横に動かしたりしていた。

彼女の目はなんだかとろんとした感じになり、彼女の頬は少し赤く染まっていた。
『まさか』
僕は、自分の思い込みを是正するかのように、脳内からその考えを追い出した。

ふと見ると、彼女の顔は元のすました口に戻っていた。
「ありがとうございます。助かります」
彼女は、出て行った。

あの表情は何だったんだ?
僕の思い違い、妄想が高じてそんな風に見えたんだと思うようにした。

と、彼女が戻ってきた。
「お返しに、おかずの作り置きがありますので持ってきますね」
そう言うと、彼女は爆乳を揺らしながら去っていった。

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