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バルコニー交歓

第2章 停電逢瀬

玄関の外でたたずんでいると、彼女が鍋を持ってやってきた。
「ありがとうございます。助かります」
と僕は鍋を受け取ろうとした。
すると
「カセットコンロ、あります?」
と彼女。
「はい、ありますが」
「それじゃ、温め直しますね」
と親切な。

彼女の意外な押しに、僕はそのまま押されて彼女を家のキッチンに入れた。
「温め直しには、コツがあるんですよ」
と彼女は気さくに話しながら、主婦らしい手際の良さで鍋の中を巧みに整え、食卓の上のコンロにかけた。

その作業の間、僕は、彼女の姿をガン見していた。
彼女は、先ほど来た時と服が違っていた。
先ほどは首元の広がったワンピースだったが、今は首元がぴちっと引き締まったTシャツとひざまでの短いズボンといういでたち。
しかしその引き締まりのため、より彼女の胸の大きさと形がくっきりと浮き上がり、僕のすぐ目の前にそれはどスケベに揺れていた。

例の間接照明のため、薄暗い。その薄暗さをいいことに、僕は、彼女のバカでかいバストを間近で、穴のあくほど見た。

ぐつぐつと煮える音と、いい匂いがしてきた。
「煮えましたね。出来上がりです」
彼女は出来上がったおかずを皿に盛ると、その鍋を持って
「では、おじゃましました」
とあっという間に去っていった。
なんのことはない、その鍋を自宅に持ち帰りたくてわざわざ温め直してくれたんだろう。
僕は、少しがっかりした。
はい、アーンとまではいかないまでも、もうちょっと淡いロマンスでもあればよかったのに…。
おっといけない、あのひとは人妻だった。

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