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花と時計

第6章 I fall in love with unknown


足が引き寄せられ、ついていく私。
彼のように軽やかにいかない。

追いかけているはずなのに、巻かれては呼ばれ、見失っては呼ばれを繰り返して、ようやく、彼の制服のシャツを掴んだときには、私はもう息が切れて、疲れきっていた。

一方の彼は汗すらかかず、涼しい顔をして、私を笑う。

「そんなにしてほしいんだ?」

「ちっ、違います、監視、です」

「監視?」

「わ、私といれば、先輩は、変なことが出来ないから」

私は、目の前の建物を見上げる。

焦げた色の木が造る小さな協会のような形の建物。
ドアの上には、白百合と赤い薔薇を描いた円形のステンドグラスが嵌め込まれている。
ドアの横に看板が立て掛けてあるが、字が擦れていて読めない。

「この建物、何ですか?」

「昔の部室棟」

「部室棟」

「依子に見せたいものがあってさ」

先輩は私の手を引いて、ドアを開けた。
立て付けの悪い音がして、中の埃臭い空気が逃げ出してくる。

壁に扉が並んでいて、中には立て付け悪く、開いているものもある。
その中を覗いてみると、家具はなくなっているけど、壁には年代物のポスターが残されていた。

建物の真ん中には螺旋階段があって、2階に続いている。
2階の通路を見上げると、更に上に行けるように、梯子がかけられていた。

先輩の後に続いて、螺旋階段を上り、梯子を上がる。

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